独立行政法人日本学術振興会 研究拠点形成事業(B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)日本セミナー
現代に生きる“手漉き紙と芸術表現”の研究〜サマルカンド紙の復興を中心に〜
国際セミナー 紙と芸術表現
“ウズベキスタンのサマルカンド紙、イスラム写本、ミニアチュールを知る”
International Seminar on Hand-Made Paper and artistic expression
“Research into ancient Samarkand paper, Islamic Manuscripts, and Miniatures”
2019年11月16日(土) 10:00〜17:30 (開場9:30)
名古屋大学アジア法交流館(2階)アジアコミュニティフォーラム
(レセプションパーティ:1階CALEアゴラ)
入場無料(申込制:150名)
□主催:愛知県立芸術大学、名古屋大学法政国際教育協力研究センター(CALE)
□協力:愛知県立大学
お問い合わせ:愛知県芸術大学 芸術情報・広報課 0561-76-2851
開催概要、メッセージ
世界には、様々な紙文化があります。
“紙”は、人類の根源的な文化形成における重要なメディアとして発展と交流、多様化を繰り返してきました。
しかし、古来から伝わる“手漉き紙”文化は世界的に衰退傾向にあり、それらは大量生産時代の経済性や生活そのものの近代化など、需要の変化によるものと考えられています。
ウズベキスタンのサマルカンド紙は8世紀後半、中国から西方のサマルカンドに紙の技術が伝播し出現した紙と言われています。この紙は、硬筆によるカリグラフィー(書)やミニアチュール(細密画)の支持体として発展した、とても美しい紙であり、その製紙技術はさらに進化し、西洋にも伝播したと言われています。
ウズベキスタンの紙文化は、サマルカンドの他、コーカンド、ブハラにも存在したといわれます。しかし、19世紀には、工房の衰退により技術が断絶し、現在歴史や製法は明らかではありません。
一方、中国や日本など東アジアの製紙技術は、靱皮植物による原料の探求や、紙の規格化、滲みどめ加工の探求、さらにその上に描かれる芸術表現とともに発展してきましたが、現在は衰退の一途をたどっており、製法の歴史的実態は明らかではありません。
しかし紙文化は非常に重要で、近代以前の紙の製法は人力と自然力によるもので、地域性、歴史性を象徴する多くの文化の跡が潜んでおり、様々な文化を読み解くことができます。
この「紙と芸術表現セミナー」は、2017年から3年間取り組んできた、独立行政法人日本学術振興会 研究拠点形成事業(B.アジア・アフリカ学術基盤形成型)、現代に生きる“手漉き紙と芸術表現”の研究〜サマルカンド紙の復興を中心に〜の報告として開催するセミナーです。これまでウズベキスタン、中国でセミナーを行い、今回は3度目の国際セミナーの開催となります。
内容は、ウズベキスタンのサマルカンド紙、イスラム写本、細密画に関する調査報告を中心に、和紙、中国紙、韓紙、さらに西洋の紙の歴史をあらためて調査し、世界の紙の伝播地図を再創することを視野に研究を行うプロジェクトの報告とします。
本セミナーは、3部構成になっています。
第1部 拠点形成事業「現代に生きる“手漉き紙と芸術表現”の研究〜サマルカンド紙の復興を中心に〜」研究報告
ウズベキスタンと日本、中国、韓国の芸術大学の連携を中心に、サマルカンド紙に焦点をあて、紙と芸術表現を見つめながら研究を行った記録を報告します。
第2部 ウズベキスタンのサマルカンド紙、イスラーム写本、ミニアチュールを知る
ウズベキスタンのサマルカンド紙、イスラム写本、細密画を知っていただくことを目的に、ウズベキスタンの研究者8名を招聘し講演を行います。
第3部 エルミタージュ美術館の紙と芸術表現 招待講演
招待講演として、ロシア国立エルミタージュ美術館のDr Adamova Adel T氏による「ティムールの細密画」、またDr Mikolaychuk Elena氏による、「エルミタージュ美術館作品の紙の調査」についての講演を行います。